日本橋動物病院だより

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アメリカ研修-1-

9月29日(土)の夜の診療が終わった8時40分くらいに、急いで動物病院から徒歩10分ほどのバスターミナルに向かいました。ターミナルを9時15分に出る空港行きのバスには十分に間に合う時間に外来が終わり、かなり安心しました。

どうしても僕の場合は予定を組んで診療をするには無理があります。最後の患者さんが緊急手術を必要とする病気ではないだろうかとか、夜通しみていないといけない重病ではないだろうかとか、そうなったらその後の予定は変更しなければなりませんし、そのような事態をある程度は想定しながらも、変更不可能な予定はなかなか組めないものです。

しかし、その日は運良く最後の患者さん、飼い主さんには必要で十分な診療をさせていただくことができたと思います。そうでなければ、アメリカへ旅立つのに何かしら心残りがあったに違いありません。そうならずに本当によかったと、このときの安心はかなり大きなものでした。

今回のアメリカ研修は現地時間の9月30日から10月3日までの4日間、ほぼ毎朝8時から夜の9時まで講義と実習を行います。僕はそれを受ける方です。

内容は新しい骨折治療の器具の取り扱いと、もうひとつは膝の靱帯を痛めたときの手術方法です。どちらも最終的には手術を行いながら研修内容の仕上げをします。

特に研修の参加を決めたものは膝の靱帯の手術手技の習得です。

膝の靱帯を痛めたときの手術手技にはいくつかの手術方法があります。

このように同じものを治療するのにいくつかの手術手技があるということは、どれにも一長一短があるということです。

今回はその中でTTAと呼ばれる手術手技を行います。



TTAのことを知ったのは、おおよそ6-7年ほど前でしょうか、オーストラリアのブリスベンで外科実習を受けたことがあります。そのときには、このTTAはやらなかったのですが、「ご自由にお取り下さい」と置かれていたトレーニングセンターの案内パンフレットに新しい手技として紹介されていたのを見たことがありました。


そのパンフレットには手術の仕上がりを確認するレントゲン写真が載っていたのですが、衝撃的なものでした。理論も斬新ですし、手術手技としましてもちょっと不思議な手術です。

しかしながらこのような外科手術を僕自身が実際に行うことはあるだろうかと思うような、とても特殊で難易度の高い手術に見えました。
自分にはとうてい無縁の手術に思えて、その時は興味すら持てませんでした。

時の経過は予想もつかないような変化をもたらすのか、今では実際にこの手術を行う段階になりました。

今回のアメリカ研修では、いくつかの手術を行います。
日本からの参加者は僕一人で、ポルトガル、アイルランド、スペイン、オーストラリア、ニュージーランド、中国、韓国、フィンランド、イギリス、もちろん、アメリカからの参加者もいます。

せっかくのラスベガスですが、ホテルと研修会場の往復で終わってしまう、僕にとってはいつもの海外研修になります。