日本橋動物病院だより

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股関節形成不全

とてもお元気な年配の方が飼われているワンちゃんが歩きづらそうに診察に来られたのは去年のことでした。
お住まいは、ワンちゃんのお散歩で当院の近くまで来られる距離ではありませんでしたので、どなたかのご紹介だろうと思っていました。
お話の中で、当院のことは、浜町公園で元気に歩き回っていた他のワンちゃんの飼い主さんに聞いたと教えていただきました。
実はその公園で走り回っていたワンちゃんは、股関節の異常があり、両足の手術をしたことがあるワンちゃんでした。
その年配の飼い主さんは、ご自身のワンちゃんにも手術をして元気に走りまわって欲しいという希望をおもちでした。
手術を前提に来院されたのでした。
初診の時に検査をすると椎間板ヘルニアもあることがわかりました。
まずはそちらの治療が必要だったために、望まれていた股関節の手術の前に、椎間板ヘルニアの手術を最初にすることになりました。
椎間板ヘルニアの手術が終わり、数カ月が経ちました。
手術の痕も見えなくなった今年のはじめにしばらくぶりに来院されました。
「次は股関節の手術ができますね」と笑顔でお話されました。
飼い主さんは、股関節の手術を早くやってあげたい、そのような印象を受けました。
普通は手術の決断はどうしても必要な手術でも迷われます。
しかしこの飼い主さんは初めから手術をするために来られていますので、迷いよりは大きな期待をお持ちでした。
その手術は今週はじめに行いました。
股関節の手術は腰近くのいろいろな筋肉をわけるところから始まります。
当然ながら、筋肉の配列はワンちゃんごとに違うわけではなく、当然みんな同じです。
あまり難しい手術ではなく、整形外科では基礎的な手術とされます。
意外と、知っておかなければならない筋肉の配置よりも、使う手術器具の種類の方がずっと多いかもしれません。
ゲルピー開創器、ホーマンレトラクター、骨膜起子、ボーンソー、パワードリル、ダブルアクションロンジュール、骨やすり、ワンポイント鉗子・・・
新人の看護士さんもいろいろな手術器具の名前を覚えるのが大変そうでした。
手術は予定どおりに進み、何も予定外のことはなく、まるで教科書の解説のとおりに進んでいきました。
とは言え、整形外科の基礎、こうでなければ逆に問題です。
あとは、歩きやすさが戻るかどうかです。
ここからは、リハビリと、ワンちゃんの頑張りと、そして神頼み。
椎間板ヘルニアの手術の後、長い間大好きな公園での散歩ができすにいました。
これからはリハビリですから、しばらくはぎこちない歩き方でも、思う存分公園に出かけられます。
2月になったらいよいよ公園再デビューです。
まだちょっと寒いですけどね。
今日、6日ぶりにお家に帰りました。