日本橋動物病院だより

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猫さんが食べたもの

今日も一段と寒いですね。

雪でも降ってきそうです

食欲と元気がなくなったネコさんが来院しました。
これまでもよく診せていただいていた猫さんです。
お家の方も、特別に心当たりがないということでしたが、いつもはよく食べる猫さんがほとんど食べません。

吐き気もありましたので、いくつか検査をしますと、お腹の中に何かあることがわかりました。
できものなのか、異物なのか。

しかしレントゲンでははっきりと写ってきません。
飼主さんは、食べ物以外は食べないと思います。ということでした。

腫瘍か異物かは開腹手術をしなければはっきりとしたことはわかりそうにありませんでしたが、いずれにしても開腹手術が必要だと考えていました。

飼主さんは手術を避ける方法はないだろうかとご相談されました。
もっと詳しく調べる物としてCT検査がありますよとご提案しました。
CT検査はかなり多くの情報を短時間に知ることのできるものですが、動物の場合には、基本的には鎮静や麻酔といった、どうぶつ達が検査中に動かないでいてもらう処置が必要です。

以前に、鎮静も麻酔もしないでタオル等でグルグル巻にして検査したという話を聞いたことがあります。何だかかわいそうな気がしましたが。

検査センターでCT検査を行うには、飼主さんにセンターまで猫さんを連れて行ってもらわなければなりませんが、今回は海外出張に出かけられるとのことで、うちの動物病院からスタッフが連れて行くことになりました。

そして検査でわかった物は…。
何かのキャップのようなものでした。

異物だったのです。
CT検査の結果を3D画像に加工して、海外にいらっしゃる飼主さんにメールでお送りしました。
腫瘍やその他のものではないことがわかり、手術で完全に治ることがわかりました。

飼主さんは、でも、これは何でしょうね?
と、依然異物にはお心当たりがなさそうでした。

まず、やることが決まりましたから、すぐに手術です。
手術で取り除くべき物も、それが腸のどこにあるかもわかっていましたら、迅速な手術ができました。
メスを入れる前には、ほぼ完全な計画が出来上がっていますから、僕も看護師もほぼ無言で淡々と手術は進んでいきます。

飼主さんはその後一時的にご帰国され、手術が終わった猫さんと、猫さんのお腹から出て来たキャップをご覧になりました。
あーー、この子がよく遊んでいる物の一部です。
実物をご覧になり、やっと何かがおわかりになられたようでした。

猫さんはしばらく入院でしたが、その間、飼主さんはまた海外へ。
真冬に寒い国へのお仕事のようでした。
帰国に合わせて退院でした。

猫さんは何でも良く食べる、いくらか多食らいの子になっていました。
飼主さんも安心され、笑顔で連れて帰られました。

お仕事中はメールでしかやり取りができませんでしたが、猫さんが具合を悪くした原因も、治療法も、そして予後もわかっていましたから、飼主さんの心配は比較的少なめだったと思います。

そして元気に抜糸に連れて来ていただき、そのときの体重も増えていて
しばらく思うように食べられませんでしたから、たくさん食べて少しばかりマルマルとなって欲しいものです