日本橋動物病院だより

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椎間板ヘルニアという病気

すっきりと晴れない日が続きますね。
でも、昨日水曜日の朝はとても気持ちの良い風が吹いていましたね。
朝の6時ごろですが、いつものようにラジオ体操に出かけましたら、軽めの風がずっと吹いていました。
梅雨が明けてもこうであって欲しいと思いました。
ところで、最近椎間板ヘルニアの症状で来院される方が増えている印象があります。
椎間板は背骨と背骨の間にある物で背骨にかかる力を吸収するクッションのような役割を果たします。
これがつぶれるなどして飛び出したものが背骨の近くにある神経に障って痛みや麻痺を引き起こします。
痛みの場合でも、常に痛い場合もあれば、ときどき痛い場合もありますし、麻痺も軽いものから重いものまであります。
何となく元気がないという場合にも、いろいろと検査をいたしますと、この病気であることがわかることもあります。
治療方法は症状の程度によって様々です。
薬だけで症状を緩和する方法もありますし、手術が必要なこともあります。
先日、ダックスちゃんの来院がありました。
少しばかり体重がある子です。
診察をしますと、後ろ足がフラフラしています。
トイレにも行けず、尿も出ていないようでした。
レントゲン検査や血液検査を行い、椎間板ヘルニアと診断しました。
そのままMRIの検査に行っていただきました。
検査の結果、1箇所の椎間板ヘルニアだとわかりました。
このような場合はできるだけ早くに手術をすることが必要です。
飼い主さんは、その子の体重がとても気になっていらっしゃって、このようになったことについてご自身を責めていらっしゃいました。
食事は少なめに与えていたのに太ってしまってと、表情が暗くなってしまわれました。
しかしながら、これは肥満だけが原因で起こる病気ではありません。
遺伝的な問題もあります。
ご自身を責められることはないものです。
最善策を希望されましたので、手術をすることになりました。
僕が選択しましたのは、椎間板ヘルニアでよい治療成績のある片側椎弓切除術というものです。
ヘミラミネクトミー(Hemilaminectomy)と言われて、「ヘミラミ」と略されます。
椎間板ヘルニアが起こっている背骨に小さめの穴を開けて、そこから飛び出した椎間板物質を少しずつ取り除きます。
飛び出した椎間板物質は、手術を行っている本人以外はあまり良く見えませんので、まわりのスタッフには手応えがなかなか伝えられません。
取り出した椎間板物質は当然ながら誰の目にも見えますが。
このダックスちゃんは入院中に自分でトイレに行けるようになり、さらにしばらくすると少しずつ歩けるようになってきました。
手術後にすぐに歩けるようになる子もいますし、時間がかかる子もいます。
時には進行性脊髄軟化症と呼ばれる命に関わる状態にまで悪化することもある病気です。
腰痛や麻痺だけではない、注意が必要なものです。
お母さん大好きなダックスちゃんです。
お母さんを見つけるといつもまっしぐらに走り出します。
今は後ろ足はまだフラフラですが、それでもずいぶんと良くなってきました。
もうちょっとですね。
本当によく頑張っています。