日本橋動物病院だより

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おもらし急患 - 副腎皮質機能亢進症 -

昨晩のことです。
2回もおもらしをした。とのことで、夜中に診察をご希望される方がありました。
寝ていておもらしをしてしまったようです。
まだ若いワンちゃんです。
今日もすごく元気で、食欲もあるとのお話です。
ほとんどそそうをしないのに、2回もおもらしをしてしまったので、飼い主さんは大変に心配されています。深夜ですが、とても明日までは待てない様子でした。
おもらし(尿失禁)。
はたして病気なのかどうか。
身体検査、血液検査、レントゲンの検査、超音波検査をしました。
すると、いくつか異常がみられました。
・血液検査で肝臓に関係する数値が一つだけかなり高いこと
・レントゲン検査で肝臓が大きいこと
・超音波検査では膀胱内の異常はありませんでしたが、2回もおもらしをした直後なのに尿がやや多めにあること
ある病気が疑われます。
副腎皮質機能亢進症というものです。
まだ仮の診断の段階ですけど。
この病気の特徴はとにかく水を多く飲むことです。
そして多くの排尿がみられます。
お腹の中に2個ある副腎という臓器から、ホルモンがたくさん出過ぎてしまう病気です。
いわゆるステロイドホルモンです。
(ちなみに、ステロイドホルモンは本来体の中で作られる物です。)
そうすると、肝臓は大きくなり、超音波検査では全体的に白っぽく見えます。
おそらくは副腎皮質機能亢進症という病気のために、肝臓が腫れ、血液中の酵素が上がり、お水を多く飲み、その分おもらしが多くなったと考えられます。
お水ことは何もお話されませんでしたが、お尋ねすると、そうそう!よく飲む。とのことでした。
今日はさらに詳細な検査です。
この病気の検査のためによく使われる方法ですが、ACTH刺激試験という検査です。
それと昨夜詳しくみることができなかった副腎を含めた腹部超音波検査です。
結果が出てこの病気だと確定したら治療が始まります。
手術も一つですが、多くの場合この病気は薬を使います。
まだ結果が出ていませんし、病気だとわかり、飼い主さんは不安そうです。
しかしワンちゃんはとても元気そう。
たかがおもらし ではなかった夜中の急患さんでした。