日本橋動物病院だより

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エリザベス・キューブラー・ロス博士

桜を楽しめるのはもう少しだけのようですね。
昨日も今日も雨。
満開を迎えるまでは強風にも落下しない強い花。
しかし散り際は潔く。

末期がん患者の精神状態の研究で有名なエリザベス・キューブラー・ロス博士。
この方の研究の中で最も多くに知られているのはおそらく末期がんによる死を告知された人の心の変化を5段階で表現したものでしょうか。

すなわち、

第一段階 否認 「自分がガンになるはずがない」「この医者は誤診しているに違いない」
第二段階 怒り 「どうして私がこんな目にあわなければならないのか」

第三段階 取引 「何でもしますから病気を治してください」「神様、お金に糸目はつけません、全財産と引き換えに治してください」
第四段階 抑うつ ガンであることを認め、怒りはなく、取引も通じないことを受け入れ、うつ状態になる
第五段階 受容 死を受容した状態。

この五段階は必ずしも全てを体験するという訳ではないようですし、今回は1-2行で簡単に表現していますから、前後の文脈や本来の表現とは異なる可能性がありますが、概要はこのようなことになると思います。

今回このことを思い出したのは、これはおそらくは自分のことだけではなく、自分の愛するどうぶつが死、あるいは難病、または生死に係らなくても完治が見込めない病気の告知をうけたときにも通過する心の動きかも知れないということからです。

思わぬ告知を受けたどうぶつの飼主さんの中には、この五段階全てを順番通りに通って行かれる方もあります。

人であれば例え血のつながった家族でもこのような心理状態の変化を起こすでしょうか。
そうかも知れませんが、やはり対象が愛情を多く注いでいる家族であるどうぶつが故の気持ちではないだろうかと考えています

飼主さんはいろいろと大変だろうと察しますが、愛されているどうぶつはきっと幸せなのだろうと思います。