日本橋動物病院だより

日本橋動物病院だより

水天宮前も桜が満開になりましたよ。
桜の花はとにかくすぐに散りゆくものだとばかりと思っていましたが、先日の夜の強風にも負けずに一輪たりとも落ちていませんでした。
時期が来るまではやはり脆弱な花ではありませんね。むしろ力強い花のようでした。
それでもあと1週間でしょうか。
そうすると潔く去っていくものなのでしょうね。

そして春と言えば新しい出会い。
当院にも新しい2名の顔が増えました。
獣医師1名、動物看護師1名。
さらに充実した獣医療をご提供できるように努めて参ります。
どうぞ厳しい目で評価していただき、今後もご指導いただけますようお願い申し上げます。

今日はまた別の少しめずらしい出会いのお話です。
当院の近くの日本橋にお住まいで、当院もよくご利用される飼主さんがはじめてのワンコをお連れになりました。

「この子、保護した犬なんです。」
とても人懐っこい小型の子です。
年齢ははっきりとはわかりませんが、とても若いのは確かです。

発見時は人形町の駅の近くにいて、泥だらけだったとのことです。
連れていらしたときにはお風呂に入れられたのでしょうか、きれいな毛並みでした。
保護されたのは2週間ほど前で警察にも保健所にもお問い合わせをされ、このかわいらしい子を懸命に探していらっしゃる飼主さんに早く会わせてあげようといろいろと努力されていました。

それでも見つからず。
これは飼主さんの元から脱走したり、行方不明になった子としてはめずらしいことです。飼主さんだけが探していらっしゃる場合、なかなか見つからないことはよくあることなのですが、飼主さんも保護された方もお互いにさがしていらっしゃるのに会えないとは

このようなときにとても役に立つのはマイクロチップです。
もしかして、と、マイクロチップがあるかも知れませんので、スキャンしてみました。

すると、ピピピッと番号が表示されました。
マイクロチップのデータベースにアクセスしてこの番号の登録者を検索しました。
登録者の方にお電話をすると、この子はいろいろな事情で今はお知り合いに預けていらっしゃるとのことでした。その方がお散歩中にワンコが行方不明になり、そのままご病気で入院され。
心配ながらも探すことができずにいらっしゃいました。

そしてこの子がまだ3歳にもなっていないこともわかりました。

関係者の方々でご相談の上、結果、この子は保護されたかたが引き続き飼われることになりました。
それまでは時間とともに次第に情が移り、離れ辛くなっていらした保護をされた方。
しかも、いつお迎えが来るとも知れず。

それがマイクロチップのおかげで、元の飼主さまも判明し、保護された方にこれからもかわいがっていただけることになりました。

単純に出会いの春ですね、とは言えませんが、今回のことは関係者みんなにとって最も安心できるよい結果になりました。

・・・保護さらた方のご家族の皆さんは、このかわいらしい子をすでに手放すことが難しくなるほどかわいがっていらっしゃいました。
しかし善意とは言え、元の飼主さんに無断では後ろめたいお気持ちでいらしたに違いありません。

マイクロチップがこのように役立つこともあるのですね