日本橋動物病院だより

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歩けない -膝蓋骨脱臼-

梅雨とはこのようなものですね。
連日の雨で晴れ間がとても貴重に思えます。
少し前の休診日に日帰りで九州に行ってきました。
九州も雨続きだったようですが、偶然にも行った日はきれいに晴れ渡り、緑と青空のとても美しい自然を満喫できました。
先日1匹のワンちゃんが来院しました。
飼い主さんは、立ったままで歩けないその子を心配され、連れて来られました。
少しは歩くようですが、ほとんどの時間は立ったまま。
検査をしてみますと膝の問題だとわかりました。
しかも両方の膝です。
この異常がある子は片足だけ引きずるとか、上げているとか、そのようなことが多いものなのですが、この子は両足に問題があり、そして歩けない。
膝蓋骨内方脱臼といわれるこの膝の問題には軽いものから重いものまでありますが、この子の場合は重いものです。手術以外は解決策がありません。
手術をすることになりました。
両膝を同時に手術します。
歩けるようなら片足ずつ手術をすることを勧めます。
手術直後などには手術をしていない方で歩くこともできますから。
両足を同時に手術してしまいますと、しばらく両足とも使えませんから歩けなくなります。
しかし、今回ははじめから歩けませんから、両足を同時に手術してできるだけ早くに歩けるように考えました。
手術前にいろいろと検査をしまして、両足の手術をはじめました。
いわゆる膝のお皿の脱臼です。
お皿がしっかりと収まるように骨に溝を作ったり、靱帯の付け根を付け替えたり。
同じ手技で両足の手術を行いました。
手術後少しの間は入院をしてもらって、迎えた退院の日。
飼い主さんも僕も期待をしながらさらに1週間後の抜糸の日に期待をこめます。
抜糸の日にはまだ少し歩く程度でした。
もともと歩けないまでに悪化した足。
すぐには機能の回復は困難だろうと思っていました。
手術からおよそ2か月が過ぎた頃、「ドッグランで走っています!」
飼い主さんはステキな笑顔でお知らせしてくださいました。
「人生を取り戻したという感じです!」
飼い主さんの最上級の喜びの声。
本当によかったと思う瞬間でした。
また晴れ間があればドッグランにお出かけくださいね。
歩けなかった時間を取り戻すくらいにお散歩を楽しんで欲しいものです。