日本橋動物病院だより

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膀胱結石 -犬のシュウ酸カルシウム結石 –

<お知らせ>

6月20日(土)は、獣医師会の会合に参加するために、午後は休診いたします。
受付時間は午前9時から12時までで、午後の受付はございません。
6月21日(日)の診療受付は通常どおりで午前9時からです。
ご迷惑をおかけいたします。
突然にオシッコができなくなった男の子のワンコが来院しました。
お散歩中に突然のことで、それまでは少しだけ出し辛そうなだけだったとのことです。

尿道閉塞ということはほぼ明らかでしたが、その原因を調べるためにいくつかの検査をしました。
膀胱の中と出口までの途中に結石があることがわかりました。

通常、このような場合には、出口までの途中にある結石をどうにかしないとオシッコが出ません。
細い管を使ってまずは膀胱に押し戻します。
その時に少しだけ結石が砕けて、オシッコとともに出てきました。

これを調べてみるとシュウ酸カルシウムというものでできた結石だとわかりました。
ヒトにもよくできる結石だと思います。
ワンコによくできる結石には食事療法で溶かすことができるものもあります。
しかしながら、この結石は溶かすことができません。
膀胱にある結石はいずれはまた途中で詰まってしまって、尿道閉塞を起こすのはほぼ明らかです。

手術して膀胱から取り出しましょう。
そう飼主さんに提案しました。

やはり開腹手術となるとすぐには決断ができないものですよね。
そこで、まずは膀胱洗浄といいまして、出口の先端から膀胱まで細い管を通して膀胱の中を洗浄しました。
膀胱洗浄と呼ばれる手技ですが、洗浄の様子を超音波検査装置(エコー)で観察していますと、膀胱の中の結石がある程度細かくなっているのがわかりました。

普通は膀胱洗浄で膀胱結石が細かくなることはありません。
この方法で解決させることは難しいことです。
超音波検査では手術をして取り除かなければならない大きさの結石が見えなくなったために、おそらくは細かな結石に分かれたために、とりあえず手術を見送ることにしました。

飼主さんには手術の予定でお時間を作っていただいておりましたので、申し訳ない予定変更になりました。
まだ手術をしなくてもよいと言う訳ではありません。
この結石はよく繰り返しできることがあるからです。
シュウ酸カルシウム結石に食事療法がどれほど役に立つかを予想することは難しいのですが、まずはこれから始めることにしました。

膀胱洗浄で手術を回避したりもそうですが、何事もやってみないとわからないことは多いですよね。
先入観であきらめていたら膀胱切開以外の道を探せずにいました。
毎回このようにうまくいくことはおそらくはありません。
今回はたまたま幸運だっただけで、多くの場合は膀胱切開が必要です。

ひとまず安心できました。
食事療法が今後の結石予防になりますように。