日本橋動物病院だより

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ちょっとだけいいことしました。【初めてのセラピードッグ】

今朝も気温は低いですが、隅田川テラスは朝日に照らされてよい散歩ができましたよ。
さすがに日曜日ですから、週末ジョギングをされる方がいらして、平日よりもテラスが賑わってるようでした。週末でも、早起きされているんですね。

今日は、うちの犬がちょっといいことをしました。
彼女(うちの犬)にとっては、いつものことなんですけどね。

それは、昨年のそろそろ寒い風が吹き始める頃のことです。
2匹の大型ワンコを飼っていらっしゃるご家族からお電話がありました。
1匹の子との急な別れがあったという悲しいお知らせでした。
特別に変わったこともなく、過ごされていた中で、
朝に突然変わり果てた姿になっていたとのことでした。

2匹のワンコには、それぞれ特徴がありました。
男の子と女の子です。

当院に初めていらっしゃったのは、10年ほど前でした。
男の子の方が、ストレス性の胃腸炎になり、
食事も取ることができなくなり入院管理が必要な状態でした。

この男の子は、僕たちにはもちろんのこと、ご家族の誰もが触ることができないほどの性格で、入院中も治療や検査がとても難しかったことを覚えています。
ご家族の方が噛まれて怪我をされたり、首輪をつけようすると威嚇されたりして、触ったり、撫でたりするようなことはなかなか難しい状況でした。

この男の子は、それでもとても可愛がっていらっしゃって、家族の一員として生活をしていくために、一度訓練所に行くことになりました。
数か月の訓練の後、家族の元に帰った時には、どうにかご家族のお一人のコマンドには反応できるようになっていました。

それからご来院される時には、どうにか従わせることができるご家族が来られるようになりました。他のご家族もいらっしゃいますが、なかなかコントロールするのが難しそうでした。

女の子の方は、とても穏やかでフレンドリーです。
ご家族の癒しになっていました。
どなたか帰宅されるととても喜んで、体全体で嬉しそうに表現するそうです。

男の子と女の子は、両極端な性格で、どちらも本当に可愛がられていましたが、男の子は運動能力がかなり高いので、散歩のお供にはとてもいい子ですし、女の子はぎゅーっと抱っこができる癒し犬でした。

今回急変したのは、女の子。
ご家族からのお電話は、突然のことにとても狼狽され、どうして?なんで?、何があったの?と、本当に急なお別れを受け入れることが困難な様子が伝わってくるものでした。

それから数回のご来院がありました。
いつも一緒だった女の子は、もういません。
男の子だけの来院です。

年が明け、来院されました。
だんだんと女の子がいない生活を受け入れていらっしゃる様子でしたが、たまたま見えることこにいたうちの犬をご覧になり、話題がうちの犬の話になりました。

よかったら連れて来ましょうか?
うちの犬は人がとっても好きなので、多分遊んで遊んでと飛びつくのだろうかなと言う心配があったのですが、そのご家族の近くまで連れて行きました。

かわいいーーと言っていただき、その声に一番弱いうちの子は、お腹を出しながら、そのご家族の方がらの顔をベロベロ舐め始めました。
すみません、すみません、こらっ!!と、注意をすると、ご家族の方々はとても喜んでくださり、久しぶりにこの感覚を体感しました。と、話くださいました。
そうそう、やっぱり犬ってこうだよね、こうだよね、ってお話されながら、むしろお顔をうち犬に近づけて喜んでくださいました。

ちょっと涙目に見えました。
久しぶりに大きめの犬を抱っこされたのでしょう。
本当に喜んでもらった気がします。

顔をベロベロと舐めてしまって、嫌がられることが多いのですが、今回は少しだけお役に立てたようでした。

うちのおてんば娘も、今日だけはちょっといいことしてくれたような気がします。