日本橋動物病院だより

日本橋動物病院だより

お腹にいっぱい – 犬の誤飲 –

梅雨入りしていたんですね。
よくないことですが、ここ数カ月テレビを観ていませんでした。
ニュースも何も

昨日、梅雨入りのお話を飼主さんとしていて教えてもらいました。
反省しています。
今日はよい天気になりました

先日来院されたときに、ワンちゃんが小さな布を食べてしまったというお話をされました。ご来院の目的は別にあり、今は特別に調子がいいし、これまでもいろいろと異物を食べているがその都度出て来ているとのことでした。

次の日です。
何度も吐きそうにする。物が出て来ない。おそらく、その布のせいではないかと再来院されました。
レントゲンではほぼ空っぽのはずの胃がかなり膨らんでいます。

内視鏡検査をしました。
口から入れますとすぐに食道に入りますが、食道が赤く炎症を起こしていました。
その後内視鏡が胃に入るとすぐに布と真っ黒い物が見え、それとは別に布が見えました。
内視鏡を使って鉗子で異物を取り出そうとしましたが、胃の入り口までは持って来れますが、そこから引き出すことができません。
何回か試みましたが、続けると胃を傷める危険がありましたので、手術で胃を開けることにしました。

胃は、外から触っても硬い何かが入っているのがわかりました。
布だけではなさそうです。
開いた胃の中に鉗子を入れて異物をつかみましたが、かなり大きな塊になっていて、出て来ません。
胃にあけた穴から出てくる分だけずつをハサミで切って小さくしながらちょっとずつ取り出しました。

何回もこの作業を繰り返し、最終的に布を含めた異物を全て取り除くことができました。

異物は真っ黒に色を変えていて、しかも一つの物ではなさそうで、くっ付いたり、絡んだりしていて、何かを特定することが難しい物でした。
全てを取り出した後の胃は、また赤くなっていて、胃炎が広い範囲に見えました。

おそらくこれらの異物は長い間胃の中にあったはずです。
もしかすると何か月もの間。

取り出した物は僕のこぶしよりも大きな物でした。
それをお父さん、お母さんに見てもらいました。
何だろうね。
これはオモチャかな?これは靴下かな?などと、細かなパーツを見てお話しされていました。
お家の方にはお電話で取り出した異物のお話はしたのですが、僕も今ひとつどのような物かを説明できずにいました。
実際の物をご覧になって、とても驚いていらっしゃいました。
でも、今回の布を食べてしまったことは、不幸中の幸いだったかも知れません。
それがなければ、これらのずっと前に食べた物はもうしばらくは胃の中にあったかも知れませんから。

ワンちゃんの方は、取り出した後からすっかり元気になって、少しの間の食事制限も耐えられないくらいでした。

胃炎の治療のためと食事制限のために少しだけ入院してもらいました。
面会に来られると、ワンちゃんは出口ではなく、自分の部屋の方にグイグイと進みます。

お母さんもお父さんも、その様子を見て安心されたようです。
しっかりと治ります。
でもまた食べてしまうかが心配です。