日本橋動物病院だより

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前十字靭帯の断裂

寒いですけど、今日は天気がいいですね。
空気がキレイというか、とても気持ちのよい日になりました。
1月に後ろの片足を着かないというワンちゃんが来院されました。
よくワンちゃんと一緒に人形町をお散歩されているお父さんで、このワンちゃんも界隈では人気者です。
朝のお散歩もいつも一緒で本当に大切な相棒のようなワンちゃんです。
その子がうまく歩けなくなりました。
いくつかの検査をしますと、膝のスジに異常があることがわかりました。
前十字靭帯と呼ばれる靭帯です。
ヒトでも同じ異常が起こる事があります。
私の知る限りでは、ヒトの場合はいわゆるケガです。
健康な靭帯に強い力がかかって一部だったり全部だったり切れてしまいます。
しかしながら、ワンちゃんの場合は少し異なります。
この靭帯がだんだんと弱くなる体質の子がいます。
普段なら問題ない力でも切れてしまうほどに。
ワンちゃんの場合はもともとはケガではなく変性症だと言われます。
そのような理由から、この症状を示した子は2年以内に40%が逆足も傷めてしまうことがあると言われます。
この症状の治療には何もしないという場合と、手術する場合があります。
小型犬で一部だけが切れている場合は何もしなくても治る事がありますが、治るまで結構な日数がかかります。
小型犬でも完全に切れていたり、ある程度体重があるワンちゃんの場合には、手術が必要です。
また、この手術にはいくつかの方法があります。
いくつかの手術方法があるということは、それぞれに利点と欠点があるということでもあります。
「どのような場合でもこれが最善である!」という方法がない訳です。
(意見が分かれているところです)
今回は手術を行い、関節外法の一つであるラテラルスーチャーと呼ばれる方法をつかうことにしました。
朝はお父さんと、そして昼間はお母さんともよくお散歩をしていたワンちゃんです。
ちょうど1年前にお父さんの家族はこのワンちゃんだけになりました。
ワンちゃんは膝の手術の後で少しだけ入院をしなければなりませんでした。
お父さんはちょうど1年前のことを思い出される頃にお一人です。
不安だけではないお気持ちを思うと、せめて毎日ご面会されるとよいだろうと思いまして、お勧めしました。
ご遠慮からか1日おきに来られました。
それから数週間。
少しずつですがお散歩ができるようになりました。
またお父さんのお散歩のお供ができるようになりました。