日本橋動物病院だより

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ウサギさんの食欲不振

特別に時期は関係ないとされていますが、当院ではウサギさんの食欲不振の診療は冬に多くなります。
食欲がないことに気づくのは、実際に食欲がなくなってから少しだけ時間が経ってからということが多いようです。
食欲不振の多くの原因は、その食欲の低下の状態で大まかに分けることができます。
1週間ほどの経過で、ゆっくりと食欲が低下した場合、多くは奥歯が異常に伸びすぎて舌に傷をつくってしまったことが原因です。
また、昨日までモリモリと食べていたのに、急に食べなくなった場合の多くは、胃内異物です。
そして、その異物の多くは毛球です。
奥歯のトラブルと毛球症が同時に起こっていることもあります。
毛球症は、毛が口から胃の中に入って固まった状態で、胃の中で閉塞を起こしている状態です。
ある程度多くの毛が胃の中に入っていますので、そうなる前に、まとまった量の抜け毛があったと考えられます。
これが冬に多くなる原因の一つなのかもしれません。
また、ストレス性に抜け毛が増えることもあります。
この場合、脱毛と言えるほど、地肌がみえることはほとんどありません。
奥歯が伸びすぎて、舌に傷をつくってしまった場合、このストレスで抜け毛が増えて、毛球症も併発することはありえます。
これらが原因の食欲不振であれば、よっぽど重傷ではない限り、治療することができますし、その多くは完治します。
女の子のウサギさんの場合、5歳を過ぎると子宮の病気にもなりやすくなります。
食欲不振の多くの原因は、毛球症、奥歯の伸びすぎ、子宮の病気の3つです。
それ以外の原因もありますが、かなり少ないものです。
それ以外の原因で、上の3つ以外であれば、膀胱結石、腎不全などです。
この寒い冬の間、ウサギさんの部屋のまわりに抜け毛が多くないかも観察のポイントです。
また、食欲不振の見方としまして、糞の大きさや形、そして数がいつもと違ってきたら、それもまた異常のサインです。
毛球症の予防は、繊維分の多い食事とブラッシングです。
チモシーの牧草と、ペレットと水という食事が理想的です。
残念ながら、パパイヤやパイナップルの予防効果はかなり低いものです。
寒いこの時期、特に春までは抜け毛に注意ですよ